
類設計室は2026年10月28日、奈良県宇陀市に開設した宇陀イノベーションセンター「VUTAI」が、森庄銘木産業との共同応募で『ウッドデザイン賞2026』ソーシャルデザイン部門を受賞したことを発表しました。VUTAIは自社林の整備から伝統工法建築、地域活性化拠点としての運用までを一貫して手掛けた取り組みです。

類設計室が奈良県宇陀市に開設した宇陀イノベーションセンター「VUTAI」が、ウッドデザイン賞2026のソーシャルデザイン部門を受賞しました。主催は日本ウッドデザイン協会です。今回の受賞は、地元の山守である森庄銘木産業との共同応募によるものです。
VUTAIは、建築設計に加え教育や農園など5つの事業を展開する類設計室が、各事業の知見を結集して手掛けた自社施設です。自社林の整備・活用から、宮大工の伝統工法を用いた建築の設計・施工、さらに完成後の運用までを一貫してデザインしています。

自社林を生かす持続可能な設計
VUTAIの建設には、類設計室が所有する自社林「自明の森」の木が使われています。木を使うに当たり、地元・宇陀の山守である森庄銘木産業と協働し、林道の整備から着手しました。森の循環を再生するため、光や風の通り道を考慮して伐るべき木と残すべき木を選びました。

設計では、森から採れる木に合わせて架構を決め、柱スパンの設定やトラス構造の採用などで木を適材適所に生かしています。製材は地元の製材所で行い、端材は東京本社「Root」の改修における内装材に活用しました。木を余すことなく使い切ることで、エンボディドカーボンを最小限に抑えています。
宮大工による伝統工法の広間
VUTAIの中心となる広間は、宮大工の西嶋工務店との協働により、日本の伝統工法を用いた大スパン空間として実現しました。古来の規矩術で組まれた木が構成する空間は、共創シンポジウムや子どもたちの体験学習、企業研修など様々な場として使われています。

建設中には、こども建築塾の生徒や大学生を現場に招きました。森から建築へ姿を変える過程や職人の技を、次世代へ伝える人材育成の機会としても活用しています。

官民協働の地域共創拠点
VUTAIは施設の完成をゴールとはしていません。2026年3月に宇陀市と類設計室が締結した包括連携協定のもと、官民協働の地域政策推進拠点として運用されています。
現在は、農業振興や食育、次世代の学び、地域活性化といった人を繋ぐ拠点として、たがやすマルシェや地域の未来を考えるワークショップ、共創シンポジウムなど多様な活動が展開されています。
VUTAIの取り組みは、山林の資源循環から建築、地域運営までを一つの企業グループが一貫して担った事例といえます。木材活用や伝統技術の継承、官民連携による地域拠点づくりは、他地域が地域資源を生かした拠点整備を考える際の参考材料になりそうです。




