インタビュー

行政と地域を紡ぎ、まちを動かす。「子どもに誇れる仕事」と理想の暮らしを長野で

この人にインタビュー

河合秀明

河合秀明さん  / eternal story株式会社(互恵グループ)

自治体が所有する道の駅や温浴施設などの運営・管理事業を展開する互恵グループ。「地域の起点となり、まちとひとを紡ぐ」をパーパスに掲げ、施設運営を通じて地域の持続的な活性化や振興に取り組んでいます。

そんな互恵グループで自治体との窓口業務を担っているのが河合秀明さんです。関西圏から長野県に移住し、現在は互恵グループの中で長野市内の施設運営や管理事業を担うeternal story株式会社で、窓口業務からイベントの企画や開催など、幅広い業務に携わっています。

河合さんが互恵グループに転職した理由とは。地域の施設運営に携わる魅力とは。長野県に移住して今思うことは。河合さんに仕事への思いと地方で暮らす魅力を聞きました。

接客・小売の経験をもとに長野へ移住、地域活性化を軸に見いだした新たなキャリア

――河合さんのこれまでの経歴を教えてください。

河合:高校卒業後、スポーツ用品を扱う小売店でパートとして働き始めました。主にアウトドアやキャンプ用品などを担当していました。しかし店舗の閉店に伴い、上司に紹介してもらったホームセンターに転職。正社員として接客業務に従事しました。その後、スポーツ用品を扱う量販店に転職し、接客だけでなく発注にも携わるなど、次第に業務の幅を広げていきました。

その後はエリアマネージャーとして関西圏の店舗を回って販売施策なども手掛けました。1ヵ月の半数は出張の日々で、忙しかったものの、店舗を巡って多くのお客様と触れ合えるのが楽しみでした。「どうすればスポーツ用品の関心を高められるのか」、「どうすればアウトドアやキャンプが盛り上がるのか」などを考えられるのも、私にとっては楽しかったですね。

――関西圏を中心に活躍していた河合さんが長野に移住することになった経緯を教えてください。

河合:当時勤めていた会社が地方創生事業を新たに打ち出すことになったのです。そこで私が北海道に出向することになり、次の出向先となったのが長野でした。もっとも、北海道や長野が嫌という思いは皆無でしたね。幼い頃は自然の多い土地で暮らし、山遊びばかりしていました。自然豊かな長野に異動し、「この地で暮らし続けたい」と思うようになり、家を購入して移住を決めました。

――長野県に移住してから、現在の互恵グループに転職したそうですね。当時勤めていた会社から互恵グループに転職した理由を教えてください。

河合:以前から地域を盛り上げる取り組みに関心を持っていました。前職も地方創生事業に関わり、地域を良くするには何をすべきかを考える日々を送ってきました。と同時に、「多くの人と交流したい」という思いも強くなっていきました。これまで小売店の接客員として多くのお客様の声を聞いてきたこともあり、いろいろな人と一緒に地域活性化に取り組みたいと思うようになったのです。そこで業種にはこだわらず、人を巻き込んで地域活性化に寄与する仕事を探すことにしました。

――そんな中、出会ったのが互恵グループだったのですね。

河合:はい。もっとも互恵グループが当時募集していたのは、施設長やスーパーバイザーといった職種でした。しかし、選考を進めていくと担当者から、「河合さんの経験は、当社の業務に幅広く活かせられそう。オープンポジションへの応募に切り替えましょう」と提案してもらったのです。その後、互恵グループの現状や課題、今後の展開などを聞いていくと、自治体の施設を管理するチームを発足したばかりという状況でした。長野エリアだけでなく上越エリアの施設の運営・管理事業も拡大させたいものの人手が足りない状況でした。そこで施設運営・管理担当として、地域活性化に携わる業務に就くことになったのです。

制約や難航する交渉を乗り越え、地域の本質的な課題に向き合うやりがい

――現在の具体的な業務内容を教えてください。

河合:自治体などの施設を管理するマネージャーを務めています。自治体などの施設を地域にどう役立てるかを考え、実現する役割を担っています。地域住民の皆さんはもとより、施設を利用する観光客などの声を集め、具体的にどんな施策や企画を打ち出すべきかを検討。自治体の担当者とともに今後の方針を模索しています。施設利用者向けに、施設を盛り上げるイベントも多数企画しています。そのほか、新たな施設の管理を自治体から受託するため、「指定管理者制度」という公募に応募する際に求められる事業計画書や収支予算書の作成も進めています。

道の駅をはじめ、文化会館や福祉施設、キャンプ場、野球場など、自治体が所有する多くの施設が「指定管理者制度」に基づき、民間企業によって運営されています。行政による住民サービスの向上や運用コスト低減を目的に、民間企業が運営するケースは少なくありません。当社もこの制度に基づいて地域の施設を運営し、自治体と協力しながら地域を盛り上げる取り組みを推進しています。

互恵グループでは現在、「nagano forest village 森の駅Daizahoushi」や「信州むしくらの湯 やきもち家」、「湯のさと ちくま 白鳥園」の運営に携わっています(「nagano forest village 森の駅Daizahoushi」と「信州むしくらの湯 やきもち家」はeternal story株式会社が運営、「湯のさと ちくま 白鳥園」は互恵株式会社が運営)。私は長野県内にあるこれらの施設管理を担当し、毎日異なる施設に顔を出して運営を支援しています。施設内を掃除したり、イベント当日はスタッフとして施設利用者を案内したりすることもあります。オフィスに出社してデスクワーク、ということはほとんどありませんね。

広大な自然の中で1日中楽しめるスポットとして人気の「nagano forest village 森の駅Daizahoushi」

――マネージャーとして大変だと思うこと、一方でやりがいと感じることを教えてください。

河合:施設を所有する自治体の担当者との協議には難しい面が多々あります。特に「指定管理者制度」に基づく施設の場合、条例などで決められた制約下で運用しなければなりません。「当社としてこういうことに取り組みたい」とこちらの都合を提案するだけでは、当社の望みは叶いません。そこで、議会に条例を改正してもらうよう担当者に働きかけたり、施策実施に必要な予算を確保しに行ったりすることも協議内容には含まれます。「地域を良くしたい」という思いを担当者にきちんと届け、実現するための取り組みは大変ですね。その半面、大きなやりがいも感じます。

ちなみに、自治体の担当者とのやり取りの中には、設備の破損や不具合をどちらが修復するのかといった交渉もあります。「当社が負担する」や「自治体が修理費を捻出する」などの交渉はまとまらなくなりがちですね。もっとも、その地域にとって何がプラスになるのか、地域住民がどうすれば喜んでくれるのかを常に意識しています。こうした本質的な課題と向き合うことで、難航する交渉でも双方が納得いく着地点を見つけられると考えています。

――前職でも地方創生事業に携わっていたそうですが、その経験やノウハウが現職でも活かされているのでしょうか。

河合:前職では観光を軸に地域をどう盛り上げていくのかを考える事業に携わっていました。そこでは自治体とのやり取りも担当し、交渉の難しさも理解していました。こうした経験が今でも活かせたと思います。多くの人と地域活性化を目指すという当社の仕事に対し、私のこれまでの経験や知見が活かせるのはうれしい限りですね。

「挑戦したい」を実現できる風土、都市部では味わえない地方ならではの仕事の面白さ

――前職は楽しいと思える半面、出張などで忙しい日々を送っていたとのこと。現在の仕事量や働き方をどのように捉えていますか。

河合:忙しいといえば忙しいのかもしれませんが、仕事ならそれが当たり前だと私は考えます。さらに現在の業務は、私が兼ねてよりやりたいと思っていた仕事に他なりません。そういった意味で、楽しくやりがいのある仕事だと思っています。

時間を柔軟に使える働き方も魅力です。例えば、早く帰らなければならない日は仕事を早めに切り上げて、残務を自宅で片づけることも可能です。子供の行事や予定に柔軟に合わせられるようになりましたね。土日は行政の窓口が休みであることから、私も原則として休めますし、子供との時間を満喫できます。

ただし、施設利用者向けのイベントを開催する場合、週末でも運営スタッフとしてイベントに参加することがあります。しかしこうしたイベントに家族を呼べるのが何よりうれしいですね。子供に「お父さんが働いているところを見に来て」と言えるので、仕事が家族サービスにもつながっていると思います。

イベントを通じて多くの人と関わり合えるのも仕事の魅力

――河合さんにとって、長野で働く魅力はどんな点にあると思いますか。

河合:長野をはじめ、地方で働くことに抵抗を感じる人は少なくないと思います。たしかに都市部にある大企業のように、大きなプロジェクトに関わったり、社会全体に寄与する仕事を担当したりする機会は少ないかもしれません。しかし、あらかじめ決められた仕事以外にチャレンジする機会は、地方に拠点を置く企業の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。「自分はこうしたい」、「こんなことに挑戦したい」と自分の思いを実現できる環境が、長野をはじめとする地方にはあります。挑戦を許容する風土を築いている企業も多いと感じます。こうした企業の姿勢を強く感じられるのが、長野で働く魅力ですね。

――長野に移住して日々の暮らしに変化はありましたか。

河合:子供の暮らしには変化が見られますね。そもそも私が長野への移住を決めた理由の1つが、子供を自然の中で育てたいという思いがあったからです。子供にとっては都会ではなかなか味わえない経験を積めていると感じます。例えば先日、子供が学校帰りにドジョウを手づかみで持って帰ってきたんです。ちょっと驚きましたが、自然の中で特別な体験をさせたいと思っていた私には、とてもうれしい出来事でもありましたね。

もちろん長野でもゲームで遊べるしインターネットで情報収集もできます。これらは都市部に限った価値ではありません。これらに加え、「自然の中の体験」という価値を享受できるのは、地方で暮らさなければ得られないのではと思います。さらに、自治会や地区の集まり、お祭りなどの行事に参加する機会が増え、地域とのつながりの大切さも痛感するようになりました。

――今後挑戦したいことや目標などがあれば教えてください。

河合:長野をはじめとする地方の課題解決に寄与する取り組みにチャレンジできればと考えています。長野県では多くの若者が就職を機に県外に出て行ってしまいます。そのため、長野県下の企業の多くが人材の確保に苦戦しています。こうした状況を改善したいですね。

子供たちが将来、「長野で働きたい」と思える素地を築ければと考えます。将来なりたい職業の中に、「お父さんの仕事」という声が増えることを望みます。そのためには、まずは私自身が魅力的な仕事に取り組むべきだと感じています。その姿を子供が見て、「お父さんみたいな仕事をしてみたい」と思ってもらえたらうれしいですね。

地方には都市部では成り立たない仕事が数多くあります。都市部では経験できない仕事も数多くあります。こうした魅力を次の世代に伝えていきたいですね。具体的にどうすべきかは思案中ですが、仕事や暮らしでつながる多くの人とともに、こうした取り組みにチャレンジできればと思います。挑戦を後押しする風土が根付く長野なら、この思いを必ず実現できると信じています。

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地方創生ジャーナル編集部

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