
静岡市は2026年10月30日、丸子〜宇津ノ谷エリアをめぐる1泊2日の旅の提案を発表しました。駿河竹千筋細工の展覧会「竹、光。」の開催に合わせ、伝統工芸の体験施設や老舗のとろろ汁店、古民家を改装した宿、明治期の煉瓦トンネルなどを紹介し、新幹線でのアクセスも良いこのエリアで400年続く職人文化を五感で体感できる旅の魅力を伝えています。

静岡市は、プラモデルの国内製造品出荷額の8割以上を占める地域です。駿府城などの造営のために全国から集まった職人が、そのまま住み着いたことがものづくり文化の起点になりました。
漆や駿河竹千筋細工、染めものといった手仕事は、やがて木製模型の技術となり、戦後のプラスチックモデル産業へと受け継がれました。その文化が色濃く残るのが、東海道の宿場町・丸子宿から峠の集落・宇津ノ谷にかけての一帯です。

竹の文化をめぐる企画展
旅の起点となる「駿府の工房 匠宿」では、2026年12月11日から2027年2月8日まで、駿河竹千筋細工展覧会「竹、光。」が開催されています。静岡で育まれてきた竹文化に焦点を当て、工芸品の造形美や職人のこだわり、風土までを多角的に紹介する内容です。
会場では内田繁デザインの光る茶室「受庵」の特別展示のほか、竹を体感できる工芸体験や、展示に合わせたカフェの限定メニューも用意されています。入場料は無料で、体験は別途料金がかかります。

工芸体験ととろろ汁の名物
匠宿は1999年に開業し、2021年のリニューアルを経て、職人が工房長を務める日本最大級の伝統工芸体験施設となりました。静岡茶で布を染める「お茶染め」のほか、藍染や駿河竹千筋細工、陶芸、木工指物や漆の体験ができます。
2023年8月には、タミヤが監修する模型工房も加わりました。プラバンのアクセサリーづくりや恐竜模型の塗装、ミニ四駆の製作など、初心者でも手ぶらで模型づくりを楽しめる点が特徴です。

丸子宿の名物は、歌川広重の浮世絵にも描かれた「とろろ汁」です。慶長元年創業の老舗「丁子屋」では、静岡在来品種の自然薯と自家製白みそを使った伝統の味を提供しています。
創業430年を記念した体験プラン「とろろ道入門所」では、14代目当主から歴史を学びながら自らすり鉢を挽く約2時間の食体験ができます。終了後には「免許皆伝書」が授与されます。

古民家の宿と街道の史跡
匠宿エリアには、築100年超の古民家を改装した一棟貸しの宿「工芸ノ宿 和楽」と、2025年1月に開湯した湯処「ふきさらし湯」があります。いずれも職人の手による家具や丸太工法を取り入れた空間です。
周辺には、今川時代から続く庭園がある古刹「吐月峰柴屋寺」や、石畳の道が残る宇津ノ谷集落もあります。集落の先には1876年に開通した「明治のトンネル」があり、国の登録有形文化財に指定されています。
400年続く職人文化を観光資源として打ち出す取り組みは、地域に根づいた産業の価値を見直すきっかけになります。宿泊や飲食、体験施設を組み合わせた旅の提案は、地方の観光振興のあり方を考える上でも参考になりそうです。
【開催概要】
- 会期: 2026年12月11日(金)〜2027年2月8日(月) 9:30〜17:30
- 休館日: 火曜(火曜が祝日の場合は営業、翌平日休業・年末年始短縮営業)
- 会場: 駿府の工房 匠宿内 匠宿伝統工芸館(静岡市駿河区丸子3240-1)
- 入場料: 無料(体験料別途)








